理事長挨拶
日本産婦人科乳腺医学会理事長就任にあたって
一般社団法人 日本産婦人科乳腺医学会
理事長 髙松 潔
このたび日本産婦人科乳腺医学会の理事長を拝命いたしました。植木先生、苛原先生の後を継いで、3代目になります。前身の日本産婦人科乳癌研究会、日本産婦人科乳癌学会を含めると20年を超える歴史のある学会の理事長という重責に身が引き締まる思いですが、諸先輩方によって築き上げられた現在の本学会の隆盛をさらに発展させるべく、努力していく所存です。
日本人において最も罹患率の高い悪性腫瘍は乳がんであることは周知であり、罹患数も右肩あがりであることから、その対応、特に早期発見は急務となっています。産婦人科は女性のかかりつけ医として、また、女性の疾患のゲートキーパーとして乳腺疾患の知識を持つことはとても重要であることは言うまでもありません。また、乳がんは女性ホルモンに依存している部分も多く、治療にはエストロゲンレベルを下げることも行われますし、逆にそれによる有害事象も起こりますから、ホルモンに関する知識も欠かせません。産婦人科は女性ホルモンへの対応は他科よりも慣れていることからも乳腺疾患の診療の一翼を担うべきものと自負しています。ところが、従来から「乳房は外科など他科にお任せ」的なところがあったように思います。しかし、近年、プレコンセプションケアとしての乳房管理、妊娠関連乳がんへの対応など改めて産婦人科領域における乳腺疾患への対応の重要性が再認識されています。まずは、これらの点の認知と普及に努めていきたいと考えております。
もちろん産婦人科が乳房疾患全てに対応できるわけではありませんが、この学会の特徴の一つとして乳腺領域の専門学会とのつながりの強さがあります。苛原前理事長をはじめ、先輩方のご努力により、日本乳癌学会、日本乳癌検診学会、日本乳がん検診精度管理中央機構などとの良好な関係を築けており、コラボレーションを大切にして、乳腺領域に貢献できるように活動していくことも一つの目標と思っております。
また、本学会では、乳房疾患認定医制度と乳房エキスパート看護職認定制度も運用されています。本分野のさらなる発展のために、研究事業や乳腺疾患・検診に関する教育の場を増やしていくことにも力を注いでいきます。
「産婦人科乳腺医学会」という名称ではありますが、産婦人科以外の先生方、また、医師のみならず、看護師や保健師、助産師はもとより薬剤師、さらには医療関係以外の方々のご参加もウェルカムです。一緒にこの分野を盛り上げていきたいと思います。宜しくお願い申し上げます。